14年のベッド
今日はベッドのことを書いておきたい。
何度も書こうと思ったのに、なかなか書けなかった。
頭の中にはずっと内容があった。
でも、文章にしようとすると止まってしまった。
いろんな感情が一度に込み上げてきて、自分の中でうまく整理できなかったからだ。
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彼女がそのベッドを2012年から使っていたと聞いた。
14年。
しかも、それは昔、俺が送ったお金で買ったベッドだったという。
正直、言葉を失った。
何をどう書けばいいのか、今でも完全にはわからない。
でも、まず最初に出てきたのは「ありがとう」という気持ちだった。
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俺があげた服なら、クローゼットにしまっておけば目には入らない。
見えない場所に置いておくこともできる。
でもベッドは違う。
毎日使うものだ。
友達がベッドを買うと言った時や、引っ越しの時や、
何かのきっかけで、ふと自分のことを思い出したことがあったのかもしれない。
たとえそれが数年に一度だったとしても。
自分はずっと、嫌われて忘れられたのだと思っていた。
でも実際には違った。
自分は、彼女の中に残っていた。
その事実に衝撃を受けた。
服のことも十分重い。
でもベッドは、その何倍も重かった。
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俺も正直に書くと、彼女との思い出の品は全部捨てた。
彼女がくれた服も、写真の入ったアルバムも、パソコンに保存していた画像も。
全部捨てた。
理由は単純で、つらかったからだ。
見るたびに思い出す。
思い出すたびに苦しくなる。
もう二度と会えないだろうと思っていたし、嫌われていると信じていたからだ。
でも、物を捨てたからといって、存在まで消えたわけではなかった。
物はなくなっても、彼女の存在だけはずっと心の中心に残っていた。
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だから、彼女が服を捨てずに持っていてくれたこと、
そしてベッドをずっと使い続けていたことが、本当に嬉しかった。
捨てることもできたはずだ。
誰かに譲ることもできたはずだ。
それでも、そうしなかった。
その意味を思うと、やっぱりうまく言葉にならない。
当時、送ったお金がどう使われたのか、自分は知らなかった。
米のビジネスに使いたいと言っていたことや、家族の生活費に回ったことは知っていた。
でも、まさかベッドになっていたとは思わなかった。
しかも、それを14年も使っていたなんて。
そんなふうに使われていたのなら、本望だと思った。
もしあの時それを知っていたら、
あの頃、自分の見ていた景色は少し違っていたかもしれない。
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結局、何が言いたいのかと言えば、ひとつだけだ。
あの時、俺が渡した愛は、ちゃんと届いていた。
無駄ではなかった。
それがわかった瞬間、心が震えた。
自分はずっと彼女の心のどこかにいた。
そして彼女も、ずっと自分の心の中にいた。
初めて会ったあの日から、今この瞬間まで。
もし彼女がまた新しいベッドを買う日が来たなら、知らせてほしいと思う。
毎日気持ちよく眠れるなら、それがいちばん嬉しい。
10年後にまた新しいベッドを買う時も、たぶん自分はここにいる。
そして、その次もきっと。
