5年間、水が出なかった話

 

友人が住んでいるアパートは、低所得者向けに政府が用意したものだ。

家賃はかなり安くて、俺の住んでいるアパートの10分の1くらいだと思う。

住人はかなり多い。たぶん1000人以上はいる。

 

管理人もいるんだろうけど、全体的にあまりきれいではない。

まあ家賃が安いから、そういうものなんだと思う。

 

俺はもう何十回もそこへ行っている。

10年以上前からだ。

 

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5年くらい前からだったと思う。

友人はずっと「水が出ない」と困っていた。

出たとしても、1日に数時間だけ。

その間に大きな水桶へ水をためて、それを使って生活していた。

 

俺もその話を聞くたびに気の毒だと思っていた。

だから最近は、あまり行かないようにしていた。

行く時は、到着する前にガソリンスタンドへ寄って、息子たちを先にトイレへ行かせていた。

そうすれば、アパートのトイレを使わなくて済むからだ。

 

ただ、救いもあった。

友人の実家は車で15分ほどの場所にあって、本当に水がなくなった時は家族みんなでそこに泊まることもあったらしい。

 

たまにデング熱が流行すると、保健局の職員が全部の家を回って、ためた水を流すように指導するという。

ため水は蚊の発生源になるからだ。

 

友人の奥さんが言っていた。

「これを流したら生活できない」と泣きながら訴えたこともあったらしい。

でも保健局の職員も、デング熱の危険がある以上、流すように言わなければならなかった。

 

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土曜日にその家へ行った時、俺は久しぶりに水のことを聞いた。

すると、今はもう問題ないと言う。

それを聞いて、俺は素直に嬉しかった。

 

でも、そのあとで本当に驚く話を聞いた。

 

水道管は、誰かが意図的に細工していたらしい。

水が出ないように、わざとだ。

 

友人の話では、理由は政治だった。

その地域の住民が困れば、選挙区の政治家が無能だと思われて、次の選挙で落ちる。

 

そういう話だった。

本当にそんなことがあるのかと思った。

 

でも、もしそれが事実なら、友人家族も、他の大勢の住民も、5年間ずっとそのために苦しい生活をしていたことになる。

警察にはもう話が伝わっているらしい。

その後どうなったのか、俺は知らない。

 

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ニュースを見れば、ひどい話はいくらでもある。

でも、身近な友人がそんな生活をしていたと知ると、重さが全然違う。

 

俺はただ、水が出るようになってよかったと思った。

それだけでも、本当によかった。